講談「荒木又右衛門(あらきまたえもん)」
伊賀市荒木に生まれた荒木又右衛門は、江戸時代ナンバーワンの剣士で、吉川英治氏の創作小説である「宮本武蔵」が世に出るまでは、その地位は不動のものであったと思われます。
そのことは、丸谷才一氏が「食通知ったかぶり」で紹介している『剣法名与侠客倚人鑑』という番付において、宮本武蔵が西の大関であるのに対し、荒木又右衛門は東の大関とされ、最上位に位置づけられていたことでもわかります。
この伊賀が誇る剣豪 荒木又右衛門の鍵屋の辻での三十六人斬りが講談でどのように扱われているのか関心があったので、その講談本をヤフオクで購入してみました。昭和33年(1958年)3月に東京ゆうかり書房が発行した「長篇講談 剣豪列伝集 荒木又右衛門」というもの。クライマックスとなる「仇討本懐」の部分は末尾に掲げました。
「斯くて又右衛門は斬りも斬ったり三十餘人、手當り次第に斬捨てましたから、全身返り血を浴びて悪鬼の如き有様でございます。」など迫力ある表現で、惹きつけられるものがあります。
平成18年(2006年)に三重県伊賀県民センター主催により旧崇広堂で旭堂南青さん(現 旭堂南龍さん)の講談が短縮版で行われ、その気迫のこもった語りを目の当たりにして感銘を受けた憶えがありますが、一度全篇を鑑賞してみたいものです。
一方で、三十六人斬りが誇張であるとの夢のない説明があるのは残念な限り。元々三十六は多数、大勢という意味合いで使われうる数字であるので、そんな些細なことに着目するのでなく、味方よりはるかに多い人数(しかもその中には川合甚左衛門、櫻井半兵衛という当代一流の武芸者がいる)の敵に敢然と立ち向かった勇気に対し喝采を送るのが自然な反応です。そして、このことがヒーローとして尊崇され続ける所以であると思います。
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