「三方よし」の原典は
2012年1月10日付け日経新聞 時事解析というコラムで、日本流 企業存続の条件として近江商人の倫理が取り上げられていました。
近江商人は厳しい倫理と奉仕の精神で自己を律したということで、著名な「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」は、他国の行商先や出店先に配慮した経営でなければ、外来商人としての存続も、出店の定着もあり得なかったために、生み出された知恵であるとされています。
この三方よしという言葉は、ずっと昔から使われていたものと思っていたのですが、脚光を浴びるようになったのは、小倉栄一郎滋賀大学教授が『近江商人の経営』(サンブライト出版,1988年,p.54)の中で,以下のように述べ、造語してからだそうです。(有馬敏則 滋賀大学経済学部教授の論文より)
「有無相通じる職分観,利は余沢という理念は近江商人の間で広く通用しているが,やや難しい。もっと平易で『三方よし』というのがある。売手よし,買手よし,世間よしという商売でなければ商人は成り立たないという考え方である。時代は下るが湖東商人の間で多く聞く。
初代伊藤忠兵衛は熱心な仏教信者で『商売は菩薩の業』と説いたが,その心は『商売道の尊さは,売り買い何れをも益し,世の不足をうずめ,御仏の心にかなうもの』という共存共栄の精神である。同じく湖東商人外村与左衛門家,また,五個荘の中村冶兵衛家,山中利右衛門家の家訓にも同じ精神がある。」
今では、この三方よしは全国に広まって、滋賀県の地域活性化のキーワードともなっていることから、この造語はとても影響が大きいものであったと感じます。
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