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2010年7月29日 (木)

和菓子のこと

 以前のブログでも紹介した内容ですが、和菓子のことから始めさせていただきたいと思います。

 

三重県伊賀地域には、歴史ある和菓子の店が多くて、それぞれの店の特徴ある品を買い歩きするのも楽しみなのですが、私が和菓子の店で最も感銘を受けたのは、滋賀県に本店がある「叶匠壽庵」です。滋賀県には、もうひとつ近江八幡の「たねや(クラブハリエ)」という著名な店もありますが、今回は「叶匠壽庵」を紹介いたします。

 

 「叶匠壽庵」の創業は1958年ということで、1600年創業の桔梗屋織居(伊賀市上野東町)のような超長寿店と比べればずいぶん新しいところですけれども、その「もてなしの心」は素晴らしいものがあると思います。

 

 そのことは、「叶匠壽庵」が大津市大石というところにつくった「寿長生の郷(すないのさと)」を訪れれば、実感できます。旧上野市街地からだと、車で阿山、信楽を経由して50分くらいです。そこでは、駐車場に車を置いたときから係の方が挨拶に来られて、いろいろな施設毎に丁寧にご説明をいただくというように、とても心配りが行き届いた感じがしました。料理は2種類あって、いずれもお茶席付きで懐石料理は6,300円、弁当は4,200円となっています。

 

 お茶席では、お抹茶をいただいた後、講話もあってお茶の心にふれたような満足感も得られます。優れた店や企業の場合は、宗教的とも言えるほど、精神的に高められた雰囲気があるようです。

 

 また、「叶匠壽庵」は各地のデパートに出店されていて、どの店へ行っても同じような気遣いがあります。特に、子どもに対して、和菓子やお茶のサービスがあって、こんな優しい店なら、ぜひ何か買おうと思わせるようなところです。

 

【叶匠壽庵 一壺天】

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 実は、「寿長生の郷(すないのさと)」へ行くまでは、高価な和菓子というイメージが強かったのですが、ここに貫かれている「もてなしの心」と顧客のために良い原材料を使おうという思想にふれれば、多少の価格の高さも理解することができました。

 

 そして、もうひとつ、「叶匠壽庵」をモデルとした次のビデオを見て、本当に顧客本位のすごい店なんだなと思いました。いくぶん脚色されていますが、これに近い実話があるそうです。

 

 そのビデオは「にんげんだもの(日本映像企画)」

            ※詩人の相田みつを氏とは無関係

 

というもので、社員研修用として平成元年に製作されたものです。このリンク先にあらすじが書かれています。

 

 著作権法上そのまま引用することはできないので、私なりにまとめてみると、「苦労して生活している主人公の若い女性店員の方が、お客さんのためには何をすればよいかを必死に考えて、自らの犠牲も顧みず、実行していく、しかも、それが権限もなく、見返りを期待していない中での自然な行動である」というところがこのビデオの眼目であると思います。

 

 「誰にも認められないかもしれなくても、行動してしまう、そして、店全体としてもその行動をバックアップしていく」、こうした一連のことが、視聴者の琴線にふれ、単に売ればよいというものでない奥深いものを訴えかけてきます。

 

 私の拙い文章では書き切れないので、観ていただくしかないのですが、私にとっては、感動する映画の第1位、涙を流したい方にはぴったりです。

 

 ホスピタリティの原点はこういうところにあるのだなと見るたびに考えさせられます。

 

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